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武末法律特許事務所 [福岡]黒糖ドーナツ棒事件福岡の弁護士 知的財産権

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「黒糖ドーナツ棒事件」関連判決から見た、商標法第3条2項の検討
(二つの判決が持つ意味)
   
   
 
1、二つの事件の判決
@、侵害系事件 大阪地方裁判所知財専門部判決
http--www.courts.go.jp-hanrei-pdf-20110926133749.pdf 
A、査定系事件   知的財産高等裁判所判決http--www.courts.go.jp-hanrei-pdf-20110325133154.pdf

2、二つの事件の内容
1、侵害系事件の中身は、一方で、「黒糖ドーナツ棒」商標登録件者が「棒でドーナツ黒糖」標章使用者に対して、商標権や不正競争防止法違反を理由として、販売の差し止めや損害賠償等を求め、他方で、「棒でドーナツ」標章使用者が商標登録件者に対して「黒糖ドーナツ棒」商標登録件者が第三者に標章使用者が商標権を侵害している旨や商品が類似し不正競争防止法に違反している旨を告知する等の営業妨害行為の差止めを求めたもの。
2、査定系事件は、「黒糖ドーナツ棒」商標の登録無効を求めたもの。
3、二つの事件の結果 
1、侵害系事件の判決は、一方で、双方の商標(標章)や商品は類似しない等の理由で、商標登録件者から標章使用者に対する差止等の権利主張を全て退け、他方で、標章使用者が求めた、商標登録件者の権利主張の告知行為等の差止等を認容しました。
商標登録件者からの権利告知等の営業妨害行為は不正競争行為でありかつ不法行為であるという理由です。
2、査定系事件の判決は、「黒糖ドーナツ棒」の登録商標に特別顕著性(商標法第3条2項該当性)を認めて、登録商標の無効請求を退けました。
4、二つの事件の特異性
1、商標法第3条2項の適用により登録を受けるということは商標法第3条1項に該当する商標であることを前提とするものです。従って、一般的に言えば、これが有効な文字商標登録であるとすれば、商標法第3条1項に該当する商標として、多くの普通用語を用いた標章がこれに類似するとして、侵害の対象となってしまいます。従って、従来の先例は、商標法第3条2項の適用を慎重にしてその要件を厳しくしていました。
2、本件では、登録商標は有効としながら、同様な観念を表す文字標章でも、登録商標とは類似しないという手法で同じような結果を出しています。この類似しないという判断は、査定系の判決やその全身となった特許庁の判断も同じです。即ち、登録商標の対外的効力は、全く同じ文字配列で同じ色やロゴを用いている標章に対してのみ及ぶ、ということですから、登録が有効とされる法的な意味には疑問が生じます。他の同類の文字商標に効果を及ぼせないのなら権利としての意味が半減するからです。また、文字配列や色そしてロゴが全く同じ商標なら、不正競争防止法で取り締まれるからです。
5、先例における商標法第3条2項該当性
先例で、商標法第3条2項により特別顕著性が認められている事案は、普通用語ながら、同種の商品についても、他の業者が他の用語で代替出来るようなものに限られているようです。そうでないものに特別顕著性を認めかつ普遍的な差止め等の効力を認めることは、他の業者の自由営業を不当に圧迫することになるからです。
6、以上の二つの判決が表している実質的な意味
二つの判決の内容を総合すると、それらが示しているのは、単に登録商標が有効であることが認められたことの是非に意味があるのではなく、その効力の範囲から見れば、実質的に登録無効と変わりがないということを表していることにあると言えます。
即ち、普遍的な用語は、誰でも使用可能にすべきとの配慮から商標法第3条1項が立法され、解釈論としても、従来はその例外たる同法同条2項の適用を厳しくする手法が取られていましたが、他方、本件のような代替性のある用語の事例であれば、同条2項の適用要件を緩めて登録を認めても、その効力を他の代替的な普遍的用語を用いた標章に効力を及ぼすことが出来ないと解釈する手法をとれば、誰でも自由に使用できなくなるというような実害がないということになり、実務的な効果に代わりがないことになるわけです。
従って本件の場合、本質的に意味があるのは、登録商標の有効性が確認された(査定系判決)ことにあるのではなく、それよりも、その登録された商標権でもって競業他社に対して、法的な効力を及ぼすことが出来ないことが確認された(侵害系判決)ことにある、ということが出来ます。
 

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