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掲載項目

仮処分・物件目録
・均等論
・無効な登録権利に基づく侵害差止訴訟
仲裁センター利用の是非
・専属管轄の是非

 福岡の弁護士 武末法律特許事務所 仮処分・物件目録

1、今、知財訴訟に先立って、仮処分が用いられることは少なくなりました。 

2、しかし、私が、弁護士になって間もない頃(昭和50年頃)は、地方特に支部あたりでは、通常の事件と同じ よ うに、申立人側の審問だけで、決定がなされていました。従って、慣れた弁護士は可能な限り、地方の支部を管轄にして申立を行っていました。

3、しかし、特許等の知財事件の判断は複雑困難で、かつ知財が絡む商品は企業の有力商品であることが多いので、安易に仮処分がなされたら、企業にとって倒産の危機や取り返しのつかない莫大な損害を被ることとなります。

4、そこで、最高裁判所が、仮処分は本案訴訟と同じ審理を行うべしと指導したため、仮処分を起こしても、本訴の結果待ちとされ、結局取下げを促されて、相手方から逆宣伝に用いられるということになって、誰も最初から仮処分をかけ なくなったものと認めれます。

5、但し、例外が有ります。判決も出ていないのに、相手が特許等を侵害していると取引先等に吹聴する行為に対しては営業妨害の仮処分が直ぐに出ます。
 知財権利の有効無効の判断や侵害の範囲の判断には専門的な判断を要することと、大抵の場合、無智による思い込みをしている場合が多く、相手方に事実上不当な損害を与えるからですが、それに対して権利を吹聴する側には緊急を要する実害が少ないと認められるからです。

6、また、最高裁判所が、仮処分が取り消された場合には、申請者の過失が推定されるという原則を示したので(昭和43年12月14日判決)、不当な仮処分による損害賠償請求をされ易くなったというのも安易に仮処分を申立なくなった原因があるかも知れません。
  この法理は、直接本訴を起こしながら相手に営業妨害行為を繰り返す原告において、訴訟指揮のなかで理由がないことが事実上判断された後の行為は、過失や故意を認められる可能性があることを示しているものと解釈されます。

7、私が、昭和58年に、九州に帰ってきた頃に、佐世保支部で、特許侵害主張事件で審問なしの仮処分決定がなされ、しかも物件目録における対象物件の特定が、具体的な物品の物件目録ではなく、特許申請書の添付図面の写しを物件目録として、物件の特定がなされていました。 

 執行官もこの図面により執行していましたが、あきれる事態でした。特許侵害の有無の判断のような微妙な専門的かつ法律的判断を要する物件の特定と表示を、裁判官がなしておらず、従って執行官が対象物件の特定判断を、事実上、してしまっていたからです。

 債務者の相談を受けた当職は、すぐに執行管轄の福岡地裁に対して異議申立をし、まじめな裁判官の求めに応じて、事実上仮処分が解除される内容の和解で解決しました。本来なら、先例集に記録を残したかったのですが、担当の裁判官の正確な認識と正直な対応が良かったことと、仮処分を下した若い裁判官の将来を考慮したからです。   

  

福岡の弁護士 武末法律特許事務所 均等論

1、均等論とは、特許発明の権利範囲の判断基準を、請求の範囲記載とおりにいわば形式的に解釈する考え方に対峙する考え方で、判断基準である請求の範囲の記載のなかで本質的部分と非本質的部分に分けて、本質的部分を重視して解釈するという考え方です。

2、現在は、特許発明の権利範囲の判断基準に均等論を用いることは自明の理となっていますが、私が水田耕一法律特許事務所で教授を受けていたころは、特許法解釈の一大論争点でした。

 裁判所の判断にも統一されたものがなく、関東管内では、Mというカリスマ的な裁判官の指導で、均等論は否定されており、他方関西管内では物事を実質的に考える伝統からか均等論が採用されており、全く同じ内容の事件が、大阪では勝訴し(侵害差し止め側ないし権利無効主張側)、東京では敗訴する(被差止側ないし権利有効主張側)という現象が事実として起こっており、それぞれの立場で、先に有利な管轄で訴訟を提起するということが、まじめに検討されていました。

3、九州では、特許訴訟の経験が乏しいうえに、東京の先例を重視する傾向がありましたので、均等論の主張は殆ど無視される傾向にありました。

4、平成10年に至り、最高裁判所が均等論を前提とした画期的な判断をして以来、全ての知的財産権の解釈が実質的になされるようになったと理解されます。

5、その後、均等論に法的根拠を与えるべく、特許法第70条に2項が加えられ、長年に渡って築かれた判例法が立法化され、現在に至っています。

福岡の弁護士 武末法律特許事務所 無効な登録権利に基づく侵害差止訴訟 
  

かっては、審判系訴訟に限らず、侵害系訴訟においても、裁判所が特許の有効性や権利範囲の判断するにあたって、特許庁の判断に委ねられていました。
 その理由は、立法による分権制度があり、特許等の知財事件は高度に専門的な知識を要し、裁判官の知識では容易には判断できないということであり、加えて訴訟においても裁判に専門家である特許庁の調査官が補佐として付けられ、助言されるようになっていました。

2、しかし、法律解釈の訓練を受けていた駆け出しの当職や知財に興味のある弁護士や裁判官等にとっては、理解しがたい判示内容や理由も少なくありませんでした。
 その原因は、権利申請手続きが、申請者の提供する資料のみに基づいてなされ、利害関係人の意見や情報の提供を受けることなくなされる行政処分であるという制度からくるもので、立法趣旨に基づいた法解釈判断とは異なるという建前があったからと認められます。

3、しかも、特許庁の無効審判事件は時間がかかり、かつ登録有効の審決が出され裁判所がその結果を踏まえて判決しても、その後審決取消訴訟で登録無効とされることが少なくなく、その関係の解決に解釈上複雑な解釈が求められました。
 しかしこの35年の間に、法律解釈に基づいて社会的常識に近い判断をする先例が少しづつ現れ、本項で掲げる登録された権利が無効と判断される場合には特許庁の審判を待たないで、裁判所が無効であると判断出来ることなどが、最高裁判所で示され(判例変更)、それをもとに法律が改正されて現在に至っているものです。

4、ただ、商標等の登録権利は、権利関係の安定のために、無効審判請求の除斥期間が定められているので、本来無効であるべき商標が、多く登録されたまま残存しており、これに基づいて権利行使しようとする者が少なくありません。
 これに対して、法は、無効な権利に基づいて正当な権利行使を妨げられることがないように、登録無効要件と同じ要件を更に緩和させた要件をもって、使用する者を保護する救済規定を設けていますが、裁判所は、解釈論において、商標として保護すべき要部がない登録商標として、あるいは対象とされている使用標章に商標を侵害すべき要部が無いとして、商標としての類似性がないものとし、権利行使を認めていないので、被告側の代理人がしっかりとした抗弁をすれば、実害は有りません。
 なお、無効な登録権利に基づいた、標章使用者に対する、営業妨害行為に対しては、不正競争防止法や民法(不法行為)により、差止や損害賠償の請求が認められますので、同知財の知識が普遍化すれば、社会問題化を防ぐことが可能であると思慮されます。

5、最近、特許庁で登録されている特許や商標等の登録権利が裁判所で無効とされる例が目立ちます。それは、従来特許庁は申請者に権利を付与するという行政処分的性格を有し法的特に専門的な法解釈を厳格に行わなかったからだと思慮されます。
 これに対して、特許や商標等の権利侵害の判断のみならず権利の有効性の判断も権利が付与された法律の解釈や客観的な証拠判断に沿ってなすべきであるという当然の社会的ニーズに沿って、裁判所が法的解釈による判断を行ってきたので、その結果、登録権利が無効であるとされる裁判例が増えていると思慮されます。しかし、上記のとおり除斥期間内に訴訟にならないと登録権利の有効無効性が顕在化せずに、多くの無効原因を有して使用者を差止できない登録権利が多く存在するという不思議な現象が無くなるに至っていなのが現状です。

、現在、知財部の事件は原告の勝訴率が低いと言われていますが、知財部先例をみていても、その判断理由に登録権利無効とされる場合が結構多いことが認められます。また、提訴に当たって、原告においては、申請専門家(特許庁対応)の弁理士の主導による、従って、特許登録の実務知識を重視し、実質的に判例法の解釈理解に至っていない即ち訴訟経験が少ない弁護士が関与するケースが多いことなどが考えられます。

福岡の弁護士 武末法律特許事務所 仲裁センター利用の是非

、平成14年頃、関東の業者が福岡の業者を相手方として、特許侵害差し止め等を目的として仲裁センターに申立てを為しました。通知のやり取りで埒が明かなかったからです。仲裁センターが設けられて間もないころでした。

2、特許に関する裁判所の先例の流れを理解していれば、容易に権利非侵害であることが理解される事件でしたので、仲裁委員さんから相手方を説得してもらって、早急に事件を解決することを期待してこれに応じ(但し、念の為に強制力のない手続を選択)、詳細な説明書面を提出して、東京に出頭しました。小規模の依頼者にとっては、遠方の長期にわたる手続きに対応する費用と手間が、耐えられないと思慮されたからです。

3、初日でしたが、弁護士さんらしき仲裁委員はまだ記録を読んでいない様子で、弁理士さんらしき仲裁委員は記録を見ておられた様でしたが、理解が十分でない様子で、弁護士さんらしき仲裁委員さんが采配をして、ゆっくりと数回かけて紐解こうというという姿勢でした。
 当方は、直ちに不調を申立て、こちらから、東京地裁専門部に差し止め請求権不存在確認の訴えを(郵送で)起こしました。訴状には、先例から想定されるあらゆる争点の主張と立証そして想定される相手方の主張と立証を全て記載しました。依頼者の経済的不安も訴状の中で説示しました。

4、後日裁判所から電話があり、一度だけ出頭するようにとの指示で出頭しました。合議事件の第1回期日でしたが、裁判長が、この事件は差し止め請求権は認められないとの心証を開示され、早急に判決期日が入れられました。異例のことですが、経験豊富な裁判官だったからでしょうが、幸運でした。

5、知財訴訟において、訴訟手続きが長引く傾向にあります。特に地方の裁判所において顕著ですが、知財専門部でも転勤の為裁判官が知識を蓄積していない場合なども同じです。
 しかも、双方の代理人弁護士が知財に不慣れな場合や弁理士に頼っている場合などには、法解釈上意味のない主張が飛び交い、長期化に拍車をかけます。そのような場合には、裁判官が、主張の不備による不合理な結果を回避するために、強く和解を勧めることも有り得ますが、当事者がその意味を理解しない場合が多いようです。
  当事務所では、訴状でも、答弁書でも、最初に必要な争点について主張を網羅し、証拠も同時提出し、相手方が主張すべき主張と証拠も提出し、その上で、裁判官が十分理解していないと見えたら(裁判官からの求釈明に対しては、助け舟と理解して)、更に詳細な主張を根気よく為し、更にこれを裏付ける先例(なるべく最高才で類似の事実関係の事案=結果のみにとらわれない)を提出して、訴訟の迅速化に対応するようにしています。

6、仲裁制度においては、本来は仲裁委員が知財の知識に長けていなければうまくいかないはずですが、その専門に長けた人材確保が難しいのが実情と認められます(知財事件を専門にやっていると、利害関係人になり易いので、仲裁委員になることを断らざるを得ない)。従って、仲裁制度は、仲裁センターの趣旨に記載されているように、法的な、速やかな解決を求める場合には向いているとは言えず、争いを避けて、法解釈とは必ずしも方向を同じくしない無難な解決を求める手段として理解して、その採否を考えることが肝要だと思います。

福岡の弁護士 武末法律特許事務所 商標法第3条2項により登録された商標の権利効力の限界
1、従来の問題点
商標法第3条2項によって登録された商標は、もともと商標法第3条1項に該当する商標ですから、ひとたび登録を受けると、絶大な効力を取得してしまうのではないかという疑問がありました。なぜなら、同類の普遍的な用語を用いた標章は全て商標法第3条1項に該当する商標ですから、これらは全て類似の商標となり、使えなくなってしまうという懸念です。
2、先例における商標法第3条2項該当性

 従来は、商標法第3条2項は商標法第3条1項の例外として、商標法の本質に反する商標の登録を認めるものであるからとして、厳格に解釈され、その要件たる特別顕著性の要件は相当な程度のものであることが要求されてきました。
3、最近の傾向
 最近の審判例や知財高裁の判例では、比較的緩やかな解釈がなされているようです。他方、登録が認められても、本来普遍的な内容を表す文字標章から成り立っているものですから(図形等商標は、本来商標法第3条2項の問題ではない)、登録された文字構成と同じでない標章に対しては、その登録から得られる権利を行使できないと解釈することによって、その弊害がないように配慮されているようです。
4、訴訟技術上の対応
従って、商標第3条2項により登録された商標権者が第三者に権利を行使する場合や、その逆の場合でも、登録無効の争点より、類似の争点に、より注意を払わなくてはなりません。なぜなら、商標法第3条2項で登録された商標は、もともと普遍的な用語を用いているのですから、他の似ている普遍的な用語で構成された標章に、ただ似ているだけでは権利行使できないという解釈が行われるからです。すなわち、そのような商標は、そのような制限付で認められたと解釈されるからです。それによって、本来何人も使用することが求められる普遍的な商標を用いての自由競争を不当に圧迫することがないと言えるからです。


福岡の弁護士 武末法律特許事務所 専属管轄の是非
1、現在、知財事件は東京と大阪に管轄が認められ、意匠、商標、著作権そして不正競争等事件に関しては、普通管轄と並存されています。
 

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